アスペルガー症候群②

 少し前、本屋で雑誌のコーナーの前を通りかかると、「大研究 トップ0.01%の頭脳を与えられた人生は幸福なのか 東大医学部に合格した人たち」と題する見出しが目に入った。私は基本的に雑誌は読まないので、これだけであれば素通りしていたであろうが、そのサブタイトルにある「『出身者の2割が発達障害』は本当か」の見出しには、大いに興味をそそられた。斯くして私は、半ば無意識的に、週刊現代04月13日号の入ったビニール袋を懐に携えていた次第である。以下、そこに書かれていた記事の内、気になった箇所を4箇所、引用する。

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 東大医学部にまつわる、一つの伝説がある。

「実は医学部出身者の2割近くが『発達障害』だと言われているんです。実感としてはもっと多いかもしれません」(医学部4年)

 もちろん、明確なデータが存在するわけではない。しかし、東大OBでもある精神科医の吉田たかよし氏はこう断言する。

「東大に発達障害が多いというのは事実です。」
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 近年では大人になって発達障害に気づく「大人の発達障害」が社会問題化している。特に有名なのがアスペルガー症候群だ。

「アスペルガー症候群の人たちは、集団の中で人に合わせることができません。相手の感情や、その場の雰囲気を読むことが不得手だからです。どの局面でも人に合わせる能力が問われる現代社会では、彼らは非常に生きにくい」(吉田氏)
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【IQが高いアスペルガー】

 その一方で、アスペルガー症候群の人々には、IQが高い傾向がある。一般人のIQの正常値は85以上115未満と言われる。だがアスペルガー症候群の人々には、115以上のIQを示す人が少なくないのだ。
 本題に戻る。なぜ発達障害の人は東大に向いているのか。吉田氏が説明する。

「まず東大受験において最重要科目とされる数学。知能の高い発達障害の人は論理的思考が得意な傾向があるので、数学を苦にしません。次に英語ですが、東大英語の特徴は、とにかく分量が多いこと。多くの受験生がアップアップしてしまい、すべての問題を解くことさえ困難です。ですが、彼らは反復作業が得意なので、疲れを感じずに解答することができる。最後に国語です。彼らは他人の気持ちを理解することが困難なため、国語は非常に苦手とすることが多い。しかし東大の国語では、物語文が出題されないため、論理思考でカバーできてしまうのです」

 まるで招き入れるかのように、東大の入試は発達障害の人向きにできている。
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 学生が2割、という伝説に加えて、東大医学部教授のこんな証言がある。

「私見ですが、生徒以上に教授に発達障害の人が多いのではないでしょうか。私は東大教授の半分はアスペルガー症候群だと思っています。教授会などで日々接していて、あまりに頑固で、短気で、空気を読まないので、教授ではなくて患者と接しているのではないか、と錯覚することがよくあるからです。
 ただ、発達障害はその症状によって本人が困っていないと、『障害』とは認定されません。ですから、大学教授という人が羨むポストに就いて、しっかり社会的成功をおさめている以上、彼らがいくら発達障害の症状で周りを困惑させても、発達障害とは認定されないわけです。」
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 以前に私は、本ウェブサイト記事”アスペルガー症候群①”の中で、以下の様な事を述べた。

・アスペルガー症候群は、高度な論理的・抽象的思考力を有する者…即ち、高知能者の比率が高く、(あるレベルを超えた高知能者は、全てアスペルガー症候群であると主張する専門家もいる)。
・学者(特に科学者)やエンジニアといった職業に従事する者に、アスペルガー症候群が多い。

 これら専門家の間でよく知られている事実は、前述の雑誌に記載されていた内容に符合する。また私は、あるレベルを超えた知的パフォーマンスは、知能と定義されるものを司る領域に偏って脳が発達している者…即ち”発達障害者(の中でも特に、アスペルガー症候群)”でなければ望み得ないだろうと考えているが、そう考えると東大教授の多くがアスペルガー症候群であったとしても不思議ではないし、事実そうだろうと思う。

 以後もまた、面白い記事があったら、ここに紹介して行こうと思う。